シェイプとは、ダイヤモンドを上から見た時の幾何学的な輪郭と全体的な形状のことです。ダイヤモンドには一般に広く知られているラウンド(円形)以外にもさまざまなシェイプがあり、どのシェイプであるかによってダイヤモンドの印象は大きく異なります。またダイヤモンドのシェイプはそれを使ったジュエリーのデザインにも影響するため、ジュエリー自体の印象や魅力を決定づける大切な要素の一つであると言えます。
多くのダイヤモンドジュエリーに使用されているのはラウンドシェイプのダイヤモンドで、これ以外の形状のものは「ファンシーシェイプダイヤモンド」と呼ばれます。近年ではペア(洋梨)やオーバル(楕円)などの伝統的な形をはじめとして、ハートや四角いプリンセスカットなどさまざまな形のファンシーシェイプダイヤモンドが開発されています。
端正な正円のシルエットで、ダイヤモンドの代名詞的なシェイプのラウンド。1870年代に、ダイヤモンドのブルーティング(最初に行う研磨)のための機械が発明されたことで、美しく対称的な円形の輪郭に加工できるようになりました。ジュエリーに用いられるダイヤモンドのほとんどが、このラウンドシェイプのダイヤモンドにブリリアントカットを施した「ラウンドブリリアントカット」で、ダイヤモンドに注がれた光を最も効率よく光学的に反射させる形として考え出され、カットグレードが定められている唯一の形状です。
ラウンドシェイプを検索する正方形に切り出されたシャープなシルエットに、ブリリアントカットを施したプリンセスカット。1979年に初めて開発され、ラウンド型やクッション型よりも比較的新しい形状です。凛とした気品を宿した眩しいほどの輝きから、王族にちなんだ「プリンセス」の名がつけられました。特に四隅がシャープであることが必須で、細かくカットされたエッジの際が鮮烈な存在感を放ちます。まっすぐな輪郭は現代的な印象で、立体的なデザインのリングにも映える洗練されたダイヤモンドシェイプです。
プリンセスカットを検索するペア(洋梨)の形が由来のペアシェイプ。「ティアドロップ(涙のしずく)」とも呼ばれ、ファンシーシェイプダイヤモンドの中でも最もナチュラルな魅力を放ちます。甘く香る雫のような繊細さと、明るく光り輝く強さ。ラウンド型とマーキス型のメリットを併せ持ち、ダイヤモンドの美しさをあますことなく楽しむことができます。優しいテーパードラインのシルエットは、婚約指輪にふさわしい気品あふれる佇まい。縦長のシルエットが指を長く美しく見せてくれます。
ペアシェイプを検索するエメラルドに多く施される、直線的な形状が特徴のエメラルドカット。鏡の世界を覗き込んだような、奥深い透明感が目を惹きつけます。階段のように切り出すことから、「ステップ(階段)カット」と呼ばれるカッティング技法で構成されたシェイプの代表的な形で、広いテーブル面と長方形のステップカット面からなる幾何学的なシェイプがすっきりと上品な印象です。ブリリアントカットに比べて一つひとつの面が広く、ダイヤモンドの静かな美しさが際立ちます。輝きだけでなく、ダイヤモンドの色合いやクリアな表情を楽しめる形状です。
エメラルドカットを検索する形状そのものが愛を意味する、ロマンティックなハートシェイプ。ぷっくりとした愛らしいシルエットのダイヤモンドにブリリアントカットを施し、最大限の輝きを醸しだします。シンボリックなこの形状は、婚約指輪のダイヤモンドとしても特別な存在感を放ちます。またハートシェイプダイヤモンドのシルエットときらめきは、対称性が重要なポイント。美しいシンメトリーのハートシェイプを生み出すには、比較的大きなダイヤモンドが必要となるため、希少なシェイプと言えます。上品かつ華やかなハート型は、年齢を重ねても可憐な印象で身に纏うことができます。
ハートシェイプを検索する古くから婚約指輪のダイヤモンドとしても人気を誇るクッションカット。歴史的なオールドマインカットのダイヤモンドを現代に継承するクラシックなシェイプです。「ピローカット」とも呼ばれており、ふっくらとした優しい丸みを帯びた四角形が特徴。サイドにカーブがあり、角は丸くなっています。特徴的なシルエットにブリリアントカットの華やかな輝きを備え、広いファセット面が豊かな表情を見せてくれます。柔らかで繊細なきらめきには気品が漂い、華やかな装いからカジュアルスタイルまで幅広いファッションに似合うダイヤモンドシェイプです。
クッションカットを検索するゆったりとした安らぎを感じさせる、縦長の楕円形のダイヤモンド。オーバルの形状自体は古くから存在しましたが、近代では1950年代に再びその美しさと特別感に注目が高まっています。英国王室の王冠にもオーバルシェイプのダイヤモンドが配されていることが知られています。ラウンドブリリアントカットにも似た華やかなきらめきを放ちながら、おおらかなシルエットがさりげなく優雅で上品な印象。カラット数に対して表面積が大きいため、見た目にも大きく豊かに輝きます。また縦長の形状が指を長く美しく見せてくれることも魅力です。
オーバルシェイプを検索する四角形の四隅の角をカットし、ラウンドブリリアントカットのような輝きを持たせたラディアントカット。ラウンドブリリアントカットの端正な輝きとエメラルドカットの気品を併せ持ったシェイプです。1977年に考案された比較的新しい形状ながら、婚約指輪のダイヤモンドとして注目されています。ラディアントカットの最大の魅力は、その優雅なきらめきと長方形のシェイプの存在感ある佇まい。テーブル面は星を思わせるような奥深い輝きを放ち、目を惹きつけます。ファンシーシェイプダイヤモンドとしては一般的に取り扱いの少ない、貴重なシェイプです。
ラディアントカットを検索する同じ意味を持つ用語として使われがちなダイヤモンドの「シェイプ」と「カット」ですが、宝石用語では意味が異なります。「シェイプ」が輪郭や形状のことを指すのに対し、「カット」はダイヤモンドのファセット(カット面)、比率、寸法や、ダイヤモンドを煌めかせる反射特性全般を指します。
ダイヤモンドの姿はシェイプとカットによって成り立っており、ラウンドシェイプかつブリリアントカットを施されたラウンドブリリアントカットが最も標準的なダイヤモンドの形となっています。
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