天然のダイヤモンドの中には、波長の短いX線や紫外線など、肉眼では見えない特殊な光を受けると蛍光を発するものがあります。ダイヤモンド・グレーディング・レポート(宝石鑑定書)にある「蛍光性」は、そのダイヤモンドが特殊な光源下で放つ蛍光の色調や強さを示す項目です。
ダイヤモンドは炭素の集結で生成されますが、その過程で窒素や水素など他の物質が混じり合って結晶となることがあります。この炭素以外の物質が紫外線に反応することで蛍光が起こります。
出典: GIA「高品質のダイヤモンドの購入方法」より
紫外線を身近に感じることができる例が、紙幣やパスポートの真偽チェックに使われるブラックライトです。 ブラックライトは波長315〜400nmの長波長の紫外線で、蛍光性インクを使用した紙幣やパスポートに当てると普通の照明や自然光では見えない絵や文字が浮かび上がります。他にも、クラブやカラオケボックスなどブラックライトを利用した場所で衣類が青や黄などに発光した経験はないでしょうか。
この現象と同じような原理で、天然ダイヤモンドの中には青や黄色などの蛍光を発するものが存在するのです。
基本的に蛍光があるものが「良い・悪い」ということではなく、4Cの品質とは関係がありません。しかし紫外線にだけ反応して光る性質が不思議で特別な雰囲気を持っていることから、蛍光性のある宝石が近年では好まれる傾向にあります。
一般的に蛍光が含まれない「None」のダイヤモンドが、同一品質であれば最も高く取引される傾向にありますが、蛍光性はカラーや輝きには影響を及ぼすことはありません。「蛍光性があると品質が悪くなる」ということではないのです。
蛍光性は4C評価の要素に含まれておらず、あくまでダイヤモンド一つひとつを識別するための追加情報として位置付けられています。
そのため「None」にこだわる必要はなく、最近では紫外線にだけ反応して光る性質が神秘的な雰囲気を醸し出すことから、蛍光性のあるダイヤモンドがより注目されています。
ただし強い青色蛍光色(鑑定書では「Very Strong Blue」と表記)を示すダイヤモンドの中には稀に「Oily(オイリー)」と呼ばれ、クラリティグレード(透明度の評価基準)に悪影響を与える可能性があり注意が必要となるものが存在します。
オイリーは強い青色蛍光を表すダイヤモンドの中にまれに存在する、白く膜が掛かったように油っぽく見えるダイヤモンドのことを指します。GIAによるとオイリーのダイヤモンドのうち0.2%程度は、クラリティグレードに悪影響を与えている可能性があります。
※ブリリアンスプラスではオイリーのダイヤモンドの取り扱いはしておりません
蛍光性には、ダイヤモンドの品質を定める4Cの様なランクの評価はありません。
その代わり基準となるGIAのマスターストーンとの比較で、蛍光の強さと色の程度を判定し鑑定書に記載しています。
蛍光性の強さ |
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出典: GIA「高品質のダイヤモンドの購入方法」より
None | なし | Noneのダイヤモンドを探す |
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Faint | 弱い | Faintのダイヤモンドを探す |
Medium | 中 | Mediumのダイヤモンドを探す |
Strong | 強い | Strongのダイヤモンドを探す |
Very Strong | とても強い |
蛍光の色調 | ||
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Blue | 青 | |
BluishWhite | 青みががった白 | |
Green | グリーン | |
Yellowishgreen | 黄緑 | |
Yellow | イエロー | |
Orange | オレンジ | |
Pink | ピンク |
鑑定書にはこの2つの分類「強さ」と「色調」それぞれの評価を組み合わせた表記で、以下のように記載されます。
【Very Strong Blue】
【Strong Blue】
【Medium Blue】
【Faint】
【None】
Mediumより弱い蛍光のものは強さのみの表記となり、色調は近年では記載されません。しかし、以前の中央宝石研究所発行の鑑定書にはFaint BlueなどMedium以下の蛍光でも色の併記をしていた経緯があり、ブリリアンスプラスの取扱うダイヤモンドデータに表示されている場合があります。