結婚指輪は幸運をもたらす。身に着ける意味と歴史

結婚指輪を着ける意味は何でしょうか？愛し合う２人が婚姻の証として結婚指輪を身に着けることは、いまや世界中で行われている習慣です。日本でもあたりまえのこととなっていますが、文化や宗教の違いを越えて定着している習慣というのはそんなにはありません。それではなぜ結婚指輪はこんなにも広まったのでしょうか。ここでは指輪の歴史や指輪を着ける意味についてご説明します。

結婚指輪の習慣がはじまったのは9世紀ヨーロッパ。当時の教皇ニコラウス1世が約束事を誓約するしるしである鉄の輪を、結婚の誓いの意味として使いはじめたのが婚約結婚指輪の由来と言われています。

また、11世紀の文献には「花婿は花嫁に金の指輪を、花嫁は花婿に鉄の指輪を贈って交換している」という記述も見られます。その後、ヨーロッパ各地で少しずつ結婚指輪の交換が結婚の誓いの意味として広まり、13世紀には現代と同じように男女間で結婚指輪を交換することが意味を持ち、一般的となりました。

現代の結婚は婚姻届の提出を持って成立します。ですからあくまで結婚指輪の意味は婚姻のシンボルであり、必ずしもなくてはならないものではありません。にもかかわらず世界中で多くのカップルが結婚指輪を交わしている意味とはなんでしょうか。

古代より指輪は霊力が備わり、魔除けの力があると考えられていました。古代エジプトでは、幸運の象徴である昆虫スカラベの指輪が魔除けの意味として用いられ、古代ギリシアでは銀の指輪は邪悪なものから身を守るとか、宝石がついた指輪には霊力が宿るなどとして言い伝えられてきました。

また、「幸運をもたらす」として、子ども誕生や結婚式など人生の節目に身に着けたり、戦場に行く兵士の無事を願って妻が夫に指輪を送る習慣など各地に指輪にまつわる様々な習慣や言い伝え、意味があります。

このように指輪は大切な人を災いから守り、幸せを呼び寄せる意味のあるもの。結婚指輪が人類の歴史の中でこれほどに続いてきた背景には、人々の普遍的な願いがあるからではないでしょうか。今や結婚指輪の風習はキリスト教に限らずイスラム教でも神道でも行われます。そういった宗教の力さえも越える結婚指輪には、理屈では説明できないパワーを感じずにいられません。

魔除けや幸せを呼ぶ意味として人々の願いがつまった指輪。ところで、晴れて夫婦となり結婚生活がはじまってからも指輪を着け続けている人は、一体どのくらいいるのでしょうか。結婚指輪を交換した夫婦約300人に「その後指輪はどうしていますか」と調査したシチズンの「現代結婚指輪事情アンケート」では、「ほぼ四六時中着けている」人は夫が49.1％、妻は39.2％と、なんと着け続けている人は半分にも満たないことがわかりました。女性の方が少ない、というのもなんだか意外ですよね。

さらに、結婚指輪を着けなくなった時期は「（結婚）直後から」と「1年目」を合わせて男性が約60％、女性が約50％と早い模様。着けなくなった理由で圧倒的に多かったのは、男女ともに「面倒だから」。他に「仕事の都合で着けられない」「サイズが合わなくなった」なども見られました。

結婚指輪は、周囲に自分が結婚していることを知らせる意味や、結婚時に交わした約束や互いを愛し敬う気持ちを忘れずにいるための誓いの意味もあるものです。それが「面倒くさい」というのはちょっと残念。日常生活では着けられなくても、大切な記念日などに、お互いの幸せを思う意味をもった結婚指輪を着けてみてはいかがでしょうか。

長い歴史を持ち、世界中で習慣となっている様々な意味をもつ結婚指輪。結婚への誓いの意味を込めた、お互いへの意味のある素敵な贈り物として、ぜひ今後の参考にしてみてください。